量子ナノ医療研究センター(QNMセンター)は、京都大学のOn-site Laboratoryとして認定され、量子ビーム研究とナノ材料研究の融合によって生み出される新しい学問分野を発展させることを目的として、2019年10月に物質ー細胞統合システム拠点(iCeMS)に開設されました。その後、活動の一つの柱としてBNCT研究が進んできたため、2025年から京都大学複合原子力科学研究所が共同実施部局として認定され、現在に至ります。
X線、荷電粒子、中性子など、さまざまな種類の量子ビームが生成される一方で、量子ビームに反応するさまざまな元素を含有したナノ粒子も作成されています。 これら2つの研究分野を融合した新学術分野の開拓・発展、さらにその医療への応用を目指すことで、医療の革新につながる可能性があると考えています。 QNMセンターは、これらの点に関する議論のプラットフォームを提供することも目指しています。
QNMセンターのアイデアは、2018年11月にカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のカリフォルニア・ナノシステム研究所(CNSI)で開催された京都大学-UCLA合同国際シンポジウム「物理学の進展と医学応用(物理学、ナノ材料科学のバイオ、医療応用)」で発案され、設置に向けUCLAと連携して準備を行ってきました。
当センターでは、京都大学とUCLAの両方でシンポジウムやセミナーシリーズを開催し、両大学の学術交流、研究者の交換、学生の交流を進めていきたいと考えています。
またUCLAと連携して活動することで、京都大学とUCLAとの交流のハブとしても機能し、両大学間の研究連携に寄与していこうと思います。
オハイオ州立大学(OSU)とのインターラクション
2026年4月より、QNMセンターの松本助教とオハイオ州立大学(OSU)による共同研究プロジェクトが開始されました。
本プロジェクトでは、1986年からホウ素試薬開発と悪性脳腫瘍(膠芽腫:GBM)研究に歴史のあるOSUとの連携を一層深めるものとして、QNMセンターのナノテクノロジー(多孔性シリカナノ粒子:MSN)とOSUの高度なホウ素化合物創製技術を融合させ、新規ホウ素試薬を開発します。これにより、悪性脳腫瘍に対する次世代のホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の創出を目指します。
あわせて、本プロジェクトを通じた若手研究者の相互交流と育成や強固な日米連携により、難治性がんの根治に向けた道を切り拓くとともに、世界レベルで「量子ナノ医療」を発展させる国際的な交流拠点の形成を目指します。